前回の投稿の後半では、投入-産出構造の重要性が指摘されていました。Acemoglu,Akcigit, and Kerr(2016)では、米国に関する分析から、個別のショックの大きさ以上に、投入-産出構造の増幅効果が重要であることを示しています。また、論文ではさらに、地理的なネットワークを通じた経済ショックの影響の拡がりについても分析しています。これはつまり、互いに交流のある企業や産業は、輸送コストを削減し、情報伝達を容易にするために互いに近くに拠点を置くことが多いという考えに基づくものです。論文ではこうした効果についても、やはり重要になると指摘しています。
さらに、Acemoglu,Ozdaglar, and Tahbaz-Salehi(2013)では、この投入-産出構造の増幅効果が、ミクロのショックがマクロレベルの景気後退に繋がる可能性があることを示しています。経済ショックの増幅効果といえば、いわゆる「フィナンシャルアクセラレータ」効果が有名で、Bernanke,Gertler, and Gilchrist(1996)では論文の冒頭で、The “small shocks, large cycles” puzzle motivates our paper.と言っています。有名なフィナンシャルアクセラレータ効果に加えて、この投入―産出構造も”small shocks, large cycles” puzzleを説明するメカニズムと考えることができるといえます。
Acemoglu, Daron,Ufuk Akcigit, and William Kerr(2016).”Networks and the Macroeconomy: An Empirical Exploration,” NBER Macroeconomics Annual, University of Chicago Press, vol. 30(1),273-335.
Acemoglu, Daron, Asuman Ozdaglar, and Alireza Tahbaz-Salehi(2013).”The Network Origins of Large Economic Downturns,” NBER Working Papers 19230, National Bureau of Economic Research.
Bernanke, Ben, Mark Gertler, and Simon Gilchrist,(1996).”The Financial Accelerator and the Flight to Quality,” Review of Economics and Statistics,78(1), 1-15.
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