読書の秋、というにはほど遠い程まだまだ暑いですが、それでも一時期よりは読書に向いた季節になってきました。そんな折、この前何気なく買った本が個人的にあたりだったので、紹介させてもらいたいと思います。
その本というのが、東洋経済新報社から2022年に出版された“政府債務”というタイトルです。作者は金利ストラテジストとして著名な、森田長太郎という方です。
本の中身としては、国債、特に自国通貨建てで発行された国債が破綻するなんてあるのか、金融市場での長期固定債券の役割(ALM)、“貨幣論”という観点での国債の役割や政策課題について論じ、さらに財政政策の政治思想という点から、19世紀に英国で財政均衡主義が進化して先進国に広まり、そして1920年代の世界恐慌の際にドイツやソ連の計画経済システムが成功したのを機に、そうした国に対抗するものとして資本主義社会でケインズ主義(積極財政主義)が広まり、その後1950年代くらいになると、共産主義に対抗する経済モデルの必要性が薄れたことから、ケインズ主義への批判が出始め、自由主義的なシステムが復権していったのですが、それが世界金融危機が起こったあたりから、またケインズ主義的な主張が増えてきている、というような整理で話を展開し、さらに国家機能の観点からは、国債の増大要因として、戦争(特に19世紀まではほぼこの要因)、飢饉・疫病、災害、そして経済恐慌があるとして、詳細に論じています。さらにその後、日本経済についても分析しています。
全体に話の内容も面白く、わかりやすいですし、歴史的なことも丁寧に整理されているので、物語的にも読むことができました。個人的には、こうした分野に興味のある人にはお勧めだなと思います。
参考文献
森田長太郎(2022)、「政府債務」、東洋経済新報社
コメントを残す