金融危機と経済格差

経済格差を意識した出来事で、金融政策の観点からも重要なものの1つとしては、リーマンショックなどで有名な、2000年代後半の世界金融危機があるといえます。近年話題になった、著名なエコノミストの河野龍太郎氏が書かれた「成長の臨界(慶応義塾大学出版会、2022年)」でも触れられています。

話としては、富裕層は所得を増やしたとしても、それを消費に回す割合は小さく多くを貯蓄してしまう(Johnson,Perker, and Souleles[2006]など、このことを示す研究がある)。所得の少ない層ではそういったことはないが、ただ富裕層の貯蓄は、金融市場で運用される中で所得の少ない層の負債を高めることになり、住宅資産のような、負債の担保の価値が低下することによる消費低下リスクを抱えることになる(また、この他にも、雇用に関するリスクも考えられる)。世界金融危機の時には、この負債の返済負担の増加などから来る消費の落ち込みが、重要な役割を果たしたということである。

河野龍太郎(2022)、「成長の臨界:「飽和資本主義」はどこへ向かうのか」、慶應義塾大学出版会

Johnson, David, S., Jonathan A. Parker, and Nicholas S. Souleles.2006. “Household Expenditure and the Income Tax Rebates of 2001.” American Economic Review, 96 (5): 1589–1610.

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